各種データ【ガイア理論】

ARCTURUSの『終章』、N.O.A.Hの13Fで入手できる『ガイア理論』の内容です。
一部ネタばれが含まれるものもありますので、それでも構わないという方のみご覧ください。

■ガイア理論

ガイア理論(Gaia theory)
D・S・E・F エリザベス・プロジェクトチーム リ・ヒョンギ

1 序論

私はエバタ財団傘下の社会科学第2研究所エリザベス・プロジェクトの主席室長をしている研究員、リ・ヒョンギと申します。
私がこのような論文を残そうと思ったのは、2年間に渡る研究の間、繰り広げられる様々な社会変化の過程や、その結果が同一過ぎること、その終末もまたすごく凄惨としたものに対し、わらわれが生きていく社会-私はこの文の中で便宜上パブリックと呼ぶことにする-の理想郷を提示しようとの目的で書き始めたわけであります。

この論文は大変急進的であり、多くの部分で改革が要求されているので、様々な論難に出合うことは予想しておりました。
しかし、理想社会を造るということはそれと同じくらいの痛みを伴うものであり、私は謙虚に受け入れる準備ができております。
客観的視点で私のすべての研究を受け入れ、その進行を担当する推進委員会を設立することを序論で提案いたします。

2 エリザベス・プロジェクトのこと

エリザベス・プロジェクトは様々な環境や条件による社会変化を観測し、その結果の値の誤差を測定するための研究プロジェクトである。
それを目的にD・S・E・F第2研究所では仮想人間の具現、社会構造変化の観測用シュミレーションエンジンである「エリザベス・エンジン」を開発した。

このエンジンの内部では、人間のごとく思考し、自分自身に対し懐疑可能な知能を持つ個体-内部の実験用語でドール(DOLL)と呼んだ-を仮想社会の中に作り出し、多岐にわたる角度での社会構造の変化-たとえば原始社会から封建社会、共産主義と資本主義の両立、その後の状況変化まで-を模擬実験した。

初期の人形は管理者の権限をもって起動、発生させたが、その後の人形は、勝手に増殖し、活動出来るように人形と人形の間に生殖機能を含ませ、自然な新たな人形を発生させるべく、人形のあいだで恋愛に似た感情までをシミュレートできるように構成し、完璧な社会構造の出現に挑戦した。

『ガンマ段階』
エンジン内の人形達が引き続き進化や変異、改革、災害、戦争等の過程を通じてガンマ段階に至ると、パブリック社会への接触を試図する現象を目にすることが出来た。研究員達の大部分はいかなる反応や接触を禁止された。

『ベータ段階』
エンジン内の人形達が下位段階の社会創造を試図するのが目についた。
この段階で、研究員の間での意見は、自ら生成段階に基づく秘密を直接暴き、パブリック社会の領域を侵犯して抜け出そうとする意図と規定された。
私はこの段階でエンジンの終了を反対したが、自分の領域を侵犯されることに恐れをなした気の小さい研究員達はエンジンをシャットダウンし、人形を削除した。

3 ガイア理論

現社会、即ちパブリック・ソサエティもまた同じ問題点を抱えていた。
人間達は同じ人間を材料にして永遠に生きられる方法を認め、人間が下位層の世界を造り、自ら神を名乗っている。この状態では物質的に存在する社会自体としては何の意味もなく、ただ概念だけが残っていることにも至らないのだ。
人間は自分の利益の為に他人を傷つけ、力のある者が君臨し、弱い者が犠牲にされる、これが繰り返され、結局は特権階級中心の社会が形成される。
このままでは最も利己的な人間を一人残し、すべての人間は消えてしまうだろう。
このような多数の犠牲を通じて前進する社会が次の世代の社会構造だとすれば、同じ犠牲に見舞われたとしても比較的安全な結果を保証する方法を探し、それを選ぶのが残った人間達の最後の選択にならねばならない。

私が提案するのは、完璧でかつ理想的な新しい形の社会構造を目指す改編である。

1) 中央のサーバーを中心とする人間の個体意識の集団的存在への変移

人間は、息を吸い込み、歩き、食物を摂取する必要があるのだろうか?
人間の五感は仮想的な具現装置を通じても十分感じられるように出来ている。
人間が実際の感覚を利用して感ずる快楽はもう堕落の限界を越しているわけで、私は制限的に、検閲を受けた感覚だけをサーバーで各々をクライアント(人間の個体を意味する)へ電送する方法を考えた。

その為には登録されたあらゆる人間は仮眠状態へと入り意識だけをサーバーに繋ぎ、社会全体が一つのネットワークに変移する方法を提案する。すべての社会と、その構成員のネットワーク化、これがガイア理論の核心である。

2) 社会構造の改編

社会そのものとして同化した人間達は相互の間の自由なデータの送受信により意識までも共有し、自分の小さな利益の為に他人の大きな利益を害さないようになる。

3) ガイアとの同化

人間の真の生活方式や社会構造に対する覚醒を通じて人類はガイアをガンマ段階に引き上げ、永遠なる、滅亡のない状態で保存させる。すべての人類は自我と彼我の区分の無い、ガイアの一部として同化する。

4) クライアントの制限

様々な実験の結果、一つのブロックで多数のクライアントが起動すると、データー送受信の量の過負荷により効率的な管理が難しいとの結果を得た。最も理想的な数はブロック当り1,000クライアントと知られているが、
中央のサーバー-以後G・O・Dと命名する-を中心に、【12地区×12ブロック×1,000クライアント=144,000クライアント】といった公式を通じて、人類の数を制限するのが最も理想的で、完璧な状態の社会構造を保つことが出来ると判断される。

4 実行の方案

人類を144,000人に制限し、その中で完璧な上位概念としての社会を構成しようとするのは、残る大部分の人間には受け入れ難いことであることを十分察している。だが人間の寿命は制限されており、全ての人間をマギにすることは出来ない。
選ばれた144,000クライアントをG・O・Dに接続するまでは徹底的に非公開で行わなければならない。
その後、サーバーをクライアント全てを残余人類の暴動や自然的災害にも耐えられるように要塞化された構造物に配置・動作させれば、その後の残余人類の興亡是非とは関係なく、ガイアは続き、生き延びる事であろう。

最も効率的な形の要塞は、12地区を層単位に分け、各層当り2ブロックを円形で配置し、その中心にG・O・Dを連結すると共に、各層の中心は一つのハブの役割を果たす。
外形上は円環型から成っているので私はこの要塞を円環型の方舟、アークトゥルス【ARC-TURUS】と呼ぶことにした。